ニセ札だなんて、そんな
会社の行きがけにタバコを買おうと思ったら、作業服姿のおじさんが自動販売機と格闘中。いくら入れてもどうしても、お札が戻ってきちゃうみたい。
ワタシはただノンビリ待ってるだけなんだけど、ワタシの存在に気が付いて焦るおじさん。出勤タイムだし、ワタシがノンビリしてる事なんて彼にはわからないものね。
アレコレ試すも、結局ダメで。諦めた表情で「すいませんどうぞ」なんて順番を譲ってくれる態勢。そうだ、ワタシさっき銀行に寄ったから、ピン札いっぱい持ってるんだ!
「ワタシ新しい1000円札を何枚か持ってるので、交換しましょうか?」
「え、いや、でも悪いですから、このお札使えないし」
「コンビニエンスストアで使うから平気です。こっちで試してみましょうよ」
「そうですか、すいません、じゃあ...」
銀行のATMからおろしたばかりのピン札はするりと自動販売機に飲み込まれていく。無事にタバコを買うことができたおじさんは、何度も頭をさげながら、ハザード駐車中の車に乗り込んでいった。
会社に着くなり、社長に「イシダさん、さっきおじさんにお金もらってなかった?」と言われる。ミヤザキさんにも「ヘンなオヤジと挨拶してたでしょ?」と言われた。アラ、見てたのね?
状況を説明したら、ミヤザキさんは笑いながら
「イシダさんて見ず知らずの人と気軽にしゃべるよなぁ、ビルの人たちとも良くしゃべってるよね」
と言い、社長は少し驚いて
「ニセ札だったらどうすんだよ、交換する前にちゃんと透かしてみた?」
と言った。そんな、ニセ札だなんて。
帰りにスーパーで、おじさんの1000円札で卵を買いました(笑)