若奥様、コーヒー淹れてくれる?
ヤナイさんが退職して以来、社長のお茶はなんとなーく、ワタシの係りになっている。
彼女はお行儀良く、ほんのちょっとの距離でもお盆に湯飲みを乗せ、うやうやしく社長にお茶を出していた。
ワタシはつい「そこまでしなくて良いんじゃないの?」と思ってしまうので(お育ちの違いでしょうか?)、湯飲みを廃止し(だって熱くて持てないんだもの)、マグカップでお茶を出している。冷たいお茶も熱い緑茶も、なんでもかんでもマグカップ。持ち手があるので便利なのだ。
ここのところ本格的に寒くなったからなのか、社長からコーヒーに変えて欲しいとのリクエストがきた。
夏の終わりに「温かいお茶が飲みたくなったら自己申告して下さいね」と頼んでおいたので、申告があるまではと、どんなに寒い朝でも冷たい麦茶を出していたのだ。
「若奥様、コーヒー淹れてくれる?」
「去年と同じやつを用意すれば良いですか?」
「あれ、去年コーヒー淹れてくれてた?」
「覚えてないんですか!?若奥様特製のコーヒーのお味を?」
「そうだっけ?」
「若奥様としては、ヤル気減少だな~」
「そうだよな、若奥様のコーヒーが一番だよな」
「そうでしょう、そうでしょう」
「若奥様ごと家に持って帰りたいよな」
「でしたら、ふふっと淹れて差し上げましょう」
どうしてなのかわからないけど、今日は一日、若奥様と呼ばれた。