私に近づかないで
お洋服を買いに行く。
日曜日だからなのか雨だからなのか、駐車場は混んでいた。
混雑する立体駐車場での坂道には「坂道発進」というキケンが潜んでいる。今日の坂道はたいしたコトはなく、ほんのちょっと、チラリ一瞬!だけ下がる程度の坂道だったけれど、もちろんワタシはそれなりにドキドキしてしまう。
(先日「フツーに運転できるテクニックを身につけているワタクシ」と書いたコトを多少後悔しています)
ワタシの後ろは赤いセダンで、これがまた意地悪としか思えない程に車間を詰めてくる。その距離に異常を感じて振り返ると、若い男の子は携帯電話でおしゃべりの真っ最中。
どどど、どうしよう。
おしゃべりに夢中で注意力散漫なの?
少し迷った末、車を降りて彼に「近づかないで」と言いに行くことにした。さすがのワタシも恥ずかしかったけれど、高まるドキドキと万が一のアクシデントを考えれば、恥ずかしいだなんて言ってられないもの。
「あの、ワタシ、坂道発進がものすごく!!苦手なので、」
かなり怪訝な顔つきで窓ガラスを開けた彼は、携帯電話でのおしゃべりに完全に割り込んだワタシのこの一言で、全てを理解した模様。キョトンとした表情のまま「あ、はい、じゃあ車間とるようにします」と答えた。
坂道が終わるまで、彼は車3台分もの車間距離を保ち続けた。