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2006年11月 8日

山田さんのサイドビジネス 後編

(前編からの続き)

2ヶ月前にもらった名刺の事などすっかり忘れていたある日。

道路の向こう側にいる山田太郎さんと遭遇。
わざわざ立ち止まる程の間柄でもないので、歩きながら会釈をした。普段ならそれだけのはずなのに、なぜかワタシを呼ぶ彼。声に振り返ると、山田太郎さんが追いかけてくる。

あちゃー
そういえば名刺もらったんだったワ。
ここはひとつ、正直に言おう。

「せっかく名刺をもらったんですけど、あんまり知らない男の人に用件もわからないまま連絡するのは、山田さんがアヤシイとかそういうんじゃないんですけど、やっぱりちょっと、女の子としては抵抗があったんです」

「それに、サイドビジネスの名刺だって言ってたから、ワタシに何か売りたい物があるのかなと思ったんです。もしそれが欲しくない物だったら、ちょっと断りにくいかなと思ったんです」

彼は唐突に「体にやさしいシャンプー」の話しを始める。
ワタシの話しなど全く聞いていないように見えた。

話しはひどくアチコチへ飛んだ。
耳慣れない用語の説明は一切なく、何度も「そのトークの上手さと社交性は天性のものだから」とワタシをほめる。自分の失敗談を始めたかと思ったら、唐突に「いつもカワイイけど今日はいつもよりステキだよね」とお世辞を言う。地球の未来とデートの誘いとシャンプーとがゴチャゴチャになっている彼の話しは、ポイントがどこにあるのか理解するのがとても難しい。想像力をフル回転させながら聞いた。

シャンプーを売りたいの?
デートに誘いたいの?
健康オタク自慢なの?
地球環境保護活動に熱心なの?

少しウンザリしてきたその時。
彼が、聞き覚えのある組織名を2つ口にした。ムズカシイコトは担当外のワタシでも知っている、その名前。もうわかった。想像力をフル回転させる必要なんてもうない。もうわかった。

ワタシ知ってるよ。
ピラミッドの頂点にいる人だけが儲かるヤツでしょ?
そういうの、連鎖販売取引って言うんでしょ?

そう。
山田太郎さんのサイドビジネスとはつまり、そのテの事だったのです。

実際にそのテの事柄にハマっている人を見るのは初めてで、なんていうか「ナルホド、こんな感じなのかぁ」という感想を持ちました。そのテの事柄にハマる人たちは、どの辺りに魅力を感じているのかしら。

ま、ワタシには無縁の事柄だから、別に良いか。

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