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2006年11月13日

愛のコトバ地図、愛の先導車

初めは「少しは運転が上手になったのかしら?」などとニンマリ考えていて、そのうち「上手な運転ってどういうコトなんだろう?」と展開していき、それは「縦列駐車やUターンのスマートさとはちょっと違うことなのかもしれない?」という発展をみせたあたりで、突然思い出したことを。

二子玉川時代。
一緒に働いていたヨウコさんが、何を思ったのか突然、中古の軽自動車を買ったのです。

彼女の腕前は、赤信号のたびに体がまえのめりになる程にアレでしたが(本当の本当)、車の助手席といえばオヤビンのBMWだった当時のワタシは「高い車はやっぱり乗り心地が違うんだなぁ」などと、激しく間違った認識をしていました。

そんな彼女のステディは確か「墨田のボンボン」というフレコミで、彼女とワタシと2人で彼のお船に乗せてもらう事になり(とても立派なお船でした)、世田谷区から墨田区まで、無謀にも首都高で向かうことになったのです。

(今思えば無謀にも程がありますが、当時はよくわかりませんでした)

当日の朝電車で彼女の家まで行くと、封筒を渡さました。
中を開けるとそこには、まるで「B5サイズの単語帳」のようなモノが入っていました。それは、首都高のスタート地点からゴール地点までの出入口とジャンクションが順番に書かれた、彼お手製の「単語帳型コトバ地図」だったのです。

1ページに1つの出入口名が書かれ、ジャンクションの数枚前からは「ナントカ出口まで400mの看板が見えたら左に車線変更します」「ここで失敗してもまだ200m以上余裕があります」といった車線変更のタイミングまで書かれています。チェックポイントを通過する度にページをめくるシステムで、地図がニガテなユウコさんもこれなら大丈夫?という配慮だったのかも知れません。

シートベルト、オッケー!
コトバ地図、オッケー!
運転手のココロの準備、オッケー!
助手席のココロの準備、オッケー!

いくら愛に溢れたコトバ地図があろうとも、明らかに運転がアレな彼女と明らかにナビとして役不足のワタシ。

はい、ここで左車線に移ります
ユウコちゃん、車がいるか見てくれる?
いっぱい走ってるよ
左の車線に行けそう?
よくわからない。今度はトラックが来るよ
トラック?大きい? ← 大きさが重要な運転手
紫色の四角い箱がくっついてるトラック ← 色と形が重要な助手席
失敗しても平気? ← 事故は考えていない運転手
うん、まだ余裕あるって書いてある ← 事故は考えていない助手席
ユウコちゃん、車がいるか見てくれる?
いっぱい走ってるけど、チカチカ出せば良いんでしょ?
そうだよね、出せば譲ってくれるよね ← あくまでも楽観的な運転手
うん。そのためのチカチカなんでしょ? ← あくまでも楽観的な助手席

今思うと2人とも「無知が故の怖いモノ知らず」でしたねぇ...

帰り道は一般道でした。
なにやら、首都高で帰るというヨウコさんを彼が言い含めるように説得している様子。その様子から想像するに、往路の首都高チョイスは彼女が「どうしても!!」とお願いした結果なのかも知れません。

彼は一人で自分の車を運転し、彼女を家まで先導しました。
延々と続く渋滞をものともせずまたスグにこの渋滞をUターンすることも厭わず、夏の川遊びで疲れているだろうに、彼はずっと彼女を先導していました。

彼の車を目印に走り続ける彼女の横顔を見て、なんてステキなボーイフレンドと恋をしているのだろうと、しみじみ思いました。

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