校歌のレリーフ
工作をしていて思い出したことを。
小学校を卒業するとき、卒業生全員で校歌のレリーフを作った。
それは体育館に飾られるもので、正方形の木の板1枚につき文字が1つ浮き出ているもの。みんなが彫った正方形の板を並べると、少しずつ違う板の色の違いが、なんだかモザイク画のように見えた。
先生が、彫るべき文字が書かれた紙(板にカーボン紙で写す)と板を生徒に配布する。ワタシが思い出したのは、この時の配布の風景。
男の子たちが「めんどくせぇー」などと騒ぐ。
簡単な文字だと喜んでいる子、なんでオレは2枚なんだと文句を言う子、ざわつく教室。配布が終わる頃、ワタシたちは、割り当てられた作業内容の「差」の意味に気が付き始めた。
クラスには彫刻が上手な子もいれば、全然ダメな子もいる。
上手な子には難しい漢字を、それなりの子には簡単な文字を、アレがソレな子には文字なしの部分を...と、先生はその辺りをキチンと踏まえて紙と板を配布していたのだった。
ワタシに割り当てられた文字はもう覚えていないけれど、そんなに難しい漢字ではなかったように思う。みんなよりも枚数が多かったのは確かで、当時から既に「勢いでじゃんじゃん作業する子」だと、先生にバレていたのかもしれない。
クラスで一番難しい漢字は「誇」で、漫画を描くのが上手だったマツモトノブエちゃんに割り当てられた。みんなが納得する人選だったし、実際彼女はとても上手にその文字を彫り上げた。
その時のワタシは、一番難しい漢字を彫るコトになった彼女に、少しだけ嫉妬した。
勢いでガンガン完成させるような人ではなく、難易度の高い作業にじっと向き合うような人になりたいと思った。でも、それは誰にも言わなかった。