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2007年1月 8日

40分の探索

帰りの電車は空いていた。
もうすぐ降りるからと定期を片手に握り締めたとき、向かいの窓に、やけに低い位置にあるとても大きくて赤い月を見た。それは丸くはなかったけれど、子どもの頃に一度だけみた、大きくて赤い月だった。

がばっ!と勢い良く立ち上がってドアに張り付こうと思った時、急に「ガラスに映っていて本当は反対側にあるのではないか!?」と突然思い立ち、反対側のドアに張り付いた。

次の瞬間、電車がホームに滑り込む。
空のかわりに、毎朝毎晩目にしているはずなのにひとつも見覚えなどない看板が次々と目に飛び込んできた。

空が見えなくなった。月も見えなくなった。

看板がないホームの端まで走ってみたけれど、月は見えない。早足で改札を抜け、とりあえず川沿いに行ってみることにした。川幅はわりと広くて近くに高い建物はない。けれど、いくら探しても月は見えなかった。

時計を見たら、21:30だった。

線路を挟んで反対側へ行ってみる。
だけれどそっちは建物ばかりで、建物の隙間から見える真上の空に月を探して歩いても、見つかるはずなんてない。迷子にならない程度に少しウロウロして、家に帰ることにした。もしかしたらベランダから月が見えるかもしれない。そう思った。

それでも、帰るまでずっと月を探す。
真上にない事はわかっているのに、探さずにはいられない。背中に見えるかもしれないと、何度もくるくる回りながら歩いた。空にはオリオン座が光っていて、いつも必ず「ワタシの20歩前」にいる。家の鍵を探しながら、下り電車に乗れば良かったのかもしれないと思ったけれど、冷えた体にはもうその根性はなく、そのまま家に入った。

ベランダから月を探すワタシの「20歩前」にはやっぱりオリオン座が光っていて(それは今年最初に見たときよりも左側にいた)、だけれど、月は見えなかった。

抜群の方向感覚で、小学校で習った月や星のヒミツもちゃんと覚えていて、ついでに「天体少女」だったなら、あの月を探すことができたのかなぁ...と、オリオン座を眺めながら思う。

どうしても、あの月を見たい。

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