「今日、夏が来るよ。」
朝の公園でクロスステッチをしていると、ベンチでの朝寝坊を日課にしているネコが近寄ってきました。
「ねぇ、なにしてんの?」
「ん?クロスステッチ。」
「ふーん。」
「エサは持ってないよ?」
「知ってる。エサを持ってない人間だって、もう覚えた。」

公園のベンチは細長く、ワタシはベンチの一番端にちょこんと腰掛けているっていうのに、どういうワケだか今日は、わざわざワタシのすぐそばに寝そべります。
「今日、夏が来るよ。」
「本当に?どうしてわかるの?」
「公園暮らしはダテぢゃあないよ。」
なにしろいつも寝てばかりいるので、にわかに信用はできません。
「本当に本当?」
「せっかく教えてあげてるのに、信用しないんだね。」
「だって、いつも寝てばっかりでしょう?」
「エサを持ってない人間のくせに、生意気だぞ?」
「すすす、すいません。」
果たして梅雨は明けました。
けれどもまだ、ワタシのところに夏はやって来ていません。明日の朝、苦情申し立てをしようと思います。