足が速いんだって。
帰り道、家のすぐ近くで、散歩中の犬を見ました。
普段ならごく自然な素振りでほんのちょびっと迂回するところですが、今日のナカムラさんは「昨日の今日からは一味二昧違うんだぜ」なのです。
その犬は灰色で、体も足もとんでもなく細長い、思わず「病気なの?」と言ってしまうような、例の犬だったのです。
「こんにちは。」
「はい、こんにちは。」
犬を散歩させていたおじさんは、気軽に声をかけるワタシに、気軽に答えてくれました。
ナカムラさんの声はとても良く通りますから、例の犬と微妙な距離を保ちながらも、おじさんにハッキリ聞こえたのだと思います。さらに幸運な事に、おじさんはとても声の大きな人でした。
「あの、その犬、なんていう名前ですか?」
「タロウっていうんです。似合わないって言われるんですけど。」
・・・いや、そうぢゃなくて。
確かにとても似合わないけど、そうぢゃなくて。
「タロウっていうんですか。あの、犬の種類はなんていうんですか?」
「ああ、イタリアン・グレーハウンドっていうんですよ。」
「???イタリアン・・・」
「イタリアン・グレーハウンド。猟犬だから走るのが好きで・・・」
以下略ですが、おじさんは、タロウが決してワタシにちょっかいを出さないように気を配りながら、例の犬の特徴をアレコレ教えてくれました。ワタシは、絶対にタロウとの「微妙な距離」を保ちながら、おじさんの話しを聞きました。
足がとても!速くて、寒さに弱いタイプなのだそうです。