仕事の合間に、コンビニエンスストアでポッキーを買った。
母は確か、私が小学校の高学年くらいだった頃、近所のクリーニング屋さんでパートを始めた。同級生の何人かはいわゆる「鍵っ子」で、常々それをうらやましく思っていた私は、自分も鍵っ子になれたと、彼女がパートを始めた事をとても喜んだ。
母のいない家に帰り、食器棚の小さな開きを確認する。
いつもそこに、おやつが入っていたからだ。学校から帰るとまず、おやつの扉を確認する癖がついたように思う。種類はいろいろだったけれど、鈴カステラとかりんとうの日はがっかりした。好きだったおやつはなんだろう。
時期は前後するが、母方の祖母が家に来ていた時期がある。
どのくらい滞在したのかは覚えていないが、どうやら母を手伝いに来ていたようだ。彼女と一緒にお風呂に入った時、彼女のヌードが母のそれとあまりに違う事にとても驚いた。祖父母と同居した事もなければ銭湯に行った事もない。年配女性のヌードをまじまじと見たのは、あれが初めてだったのだろう。何がどのように違ったのか、その詳細は省く。
祖母は少し厳しかった。
食べ過ぎてはいけないと、ポポロンを少ししか出してくれない。残ったポポロンは、いつもの小さな開きではなく、その上のガラス戸にしまわれた。私の手の届かない所に。
ガラス戸から、ポポロンが見える。
見えるのに食べられない。祖母の目を盗む事はできても、手が届かない。母ならもっと食べさせてくれるのにと、食器棚の前を通るたびに思った。
仕事の合間に、コンビニエンスストアでポッキーを買った。
いつからなのか、ポッキーは2つに袋分けされている。半日かけて1袋を食べ、残りの1袋は、来週食べようと引き出しにしまう。
ガラス戸の中のポポロン、引き出しの中のポッキー。
そして食器棚の小さな開きの中には、母が用意してくれた、毎日のおやつ。