もう夕飯の事以外は何も考えられない
世界にはいろんな人が暮らしてる。
ワタシはそんな人たちを2つのグループに分ける。足が速い人と遅い人、算数が得意な人とニガテな人、痩せている人と太っている人、そして、良い人と悪い人。
良い人とは、正直な人。
自分の事より相手の事を考える人。
悪い人とは、正直な人。
相手の事より自分の事を考える人。
手のひらを見た。
頭が回らなくなるといつも、手のひらを見ることにしている。赤ちゃんは手を握って産まれてくると、昔のエラい人が何かに書いていた。その手の中に人生を握って産まれてきた赤ちゃんは、すぐに手をひろげ、握っていた人生が手のひらから離れる。どこかへ行ってしまう。
それを探すために、人は生きている。
人間の赤ちゃんが手を握って産まれてくるかどうか、ワタシは知らない。だけれどこの話しがとても好きで、だからいつも手のひらを見る。ゆっくり握ると、手のひらの筋が徐々に濃くなって、沈んで、皮膚がたたまれていくのがわかる。
手を強く握ると、手首の下の部分が少し形を変える。
平らだった部分がへこむ。膨らんでいた部分が平らになる。量だとか割合だとかそういうのはともかくとして、ワタシにも筋肉がある。絶対にある。ない訳がない。
諦めていた「腹ペコ信号」が、再びヤル気を出してきた。
お腹が空いた。もう夕飯の事以外に何も考えられない。お腹が空いた。温かいものが食べたい。柔らかいものが食べたい。お腹が空いた。
良い人も悪い人も、同じくらい、お腹が空くのだろうか。
彼らの手のひらには、何が握られていたのだろう。ワタシは何を握って産まれてきたのだろう。それは探すに値するものだったのだろうか。
お腹が空いた。
もうなにも、考えられない。